今年のいい思い出の一つ、コロナ禍からの夜明けを感じれるような今回の旅のことをお伝えしよう。2022年、ロサンゼルスのアニメエキスポでメカデミア学会を開催したがハイブリッドの形でまだまだ開放的な気持ちにはなれなかった。今回は久しぶりに、ヨーロッパに行った。実際には15年ぶり。従兄弟達が沢山いるのに会っていないのは長すぎた。日本文化を研究する学会参加も兼ねて、叔母さん達に会いに行くことにした。
まずはフランスの北部を通り、研究のインタビューのため大聖堂のあるアミアン市に寄った。大聖堂について大学生とお話しすると、バルセロナ市のサグラダファミリアぐらいは知っている、とのこと。実際はフランスの中規模都市、西ヨーロッパの殆どの町は素晴らしい大聖堂を持っている。町の誇りになっているものだ。百年かけて作られたものも珍しくない。アミアン市の大聖堂に詳しい研究担当の方とインタビューができ、大聖堂の歴史と彫刻について訊くことができた。その詳しさに感動し、1時間という時間は短すぎたぐらいだ。再訪問を期して、沢山写真を残し、その場を後にした。
次にドイツはデュッセルドルフ市。さらに叔母と食事をするため北部にあるシュレースヴィヒ=ホルシュタイン州まで運転。その後、車で国境を越え、デンマーク南部スナボー市で、従兄弟家族を訪問し食事。15年前に会った従兄弟の子供たちが大人になり、英語を話すまでになった。その子供の一人はそこにいなかったが、実はまさに訪問したその時病院で赤ちゃんを産んだばかりだった。従兄弟が初めての孫の写真を誇らしく見せてくれた。
デンマークに泊ったのは1日のみだったが、次の日はハンブルグ市に戻り、飛行機でロンドンに飛んだ。さらに電車に乗り、ウェールズのカーディフ市へ。そこで学会の準備をした。事前情報ではヨーロッパは日本にも劣らぬ記録的な暑さらしい。しかし現地に行くとイギリスやウェールズは雨か曇り。半袖のシャツしか持っていない私には多少寒かった。
ここまでいろいろ周ってきたが、いよいよ最終目的の学会。日本文化を研究する全世界の発表者がカーディフ大学に集った。この2日間で日本文化がいろいろな角度から取り上げられた。ジャズカフェ、ウイスキー文化、沖縄空手、洋画の中にみる日本など、沢山の興味深い発表があった。特に興味を引かれたのは、ニール・ゴードン・マンロー氏についての発表だった。1905年、29歳で日本に住むようになった方。医学のために来日したが、考古学、人類学に興味を持つ。やがて初代のアイヌの研究者となるなど、日本で約半世紀、非常に面白い様々な活動を行った。今回、イギリスのグラスゴー大学の学者がスコットランド出身であるマンロー氏を取り上げたことで、同じように長く日本に住む私自身の人生をも考えさせられる機会となった。短くも充実した1週間の研究の旅だった。またこのような研究の機会を楽しみにしている。
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